松江赤十字病院救急部は隠岐島を含む島根県東部地区の重症救急に対応するため平成16年4月に開設された救命救急センターにて、院内各科の医師のバックアップと協力のもと24時間、365日救急外来を受診される方々の診療にあたっております。3次救急疾患である、生命に危険をおよぼすような重症外傷、心筋梗塞などの心臓疾患、また脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、その他の重症疾患さらに急性中毒、広範囲熱傷、切断肢指の再接着などを扱っていますが、1次・2次救急疾患にも対応しております。
当院の救急外来を受診される傷病者は、年間20,000人余り、救急車による搬送件数は約3,500件です。重症患者数(3次救急適応症例)は300人前後で、来院時心肺停止症例は約130件になります。また離島である隠岐島からの救急患者の受け入れには当院医師の同乗する防災ヘリコプターを使用し、年間40例以上の搬送を行っています。この実績は他の救命センターと比較しても 遜色なく、島根県東部の救急医療を支えていると自負しております。
ある日突然襲ってくる病気や怪我は、たとえそれが軽症でも重症でも、患者さま本人だけでなくご家族にも大きな苦痛と不安をあたえることになります。そんな救急疾患を抱えた患者さまが安心して受診できるよう、当院救急部では充実した救急医療体制を24時間365日、取りつづけていけるよう、 平日日勤帯は専従医および兼任医が、平日時間外・休日は内科系・外科系の当直医が全ての救急疾患の初療に当たるER型の診療体制を敷いております。このシステムは各科専門スタッフのバックアップがあってはじめて成り立っており、より専門的な技術が要求されるときは専門科の医師と協同で治療にあたったり、専門科へ回したりします。また当院の救急を支えるコメディカルのスタッフは看護師の他、薬剤師・放射線技師・臨床検査技師・事務系職員がそれぞれ24時間体制で勤務しています。救急隊との連携も進み、救急現場への直接指示などが可能な、ホットラインによる直接メディカルコントロール体制が整備されていますし、救急現場への医師派遣も随時行っています。
また 当救命救急センターは現在15床を有していますが、この限られた数のベッドを有効利用するため、一般ベッドとの連携を密に運用しているところです。
次に救急医療について皆様にお話させてください。救急診療の最大の目的は、生命に危機が迫っている病態に対して、緊急的に処置を行い対処することであり、通常の外来診療とは大きく異なります。