2019年1月~12月 | |
上部 | 5725件 |
食道EMR | 1件 |
(咽頭含)食道ESD | 12件(食道:8件,咽頭:4件) |
胃EMR | 6件 |
胃ESD | 50件 |
十二指腸EMR | 1件 |
十二指腸ESD | 2件 |
下部 | 1884件 |
EMR | 476件 |
ESD | 46件 |
ERCP | 214件 |
内視鏡的粘膜下層切開剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)
従来行われてきた早期胃癌の内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)は低侵襲性、機能温存を具現化した根治的癌治療法として定着していますが、問題点として不完全切除(分割切除)に伴う遺残・再発があり、その対策として確実な一括切除を行うべく内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が開発されました。現在、早期胃癌の内視鏡治療の中心となっていて、当院でも多くの治療を行っています。また、当院では胃にとどまらず、食道、大腸の病変にも積極的にESDを行っています。
ERCP関連
胆嚢結石症や総胆管結石症などの良性疾患は以前より頻度の高い疾患でしたが、最近は胆道や膵臓の悪性疾患が増加しています。当科では通常の内視鏡以外に超音波内視鏡(超音波装置のついた特殊な内視鏡)を用い、胆膵疾患の診断と治療にあたっています。
具体的には、巨大結石や積み上げ結石などの総胆管結石症の治療には外科的治療が必要でしたが、現在ではその多くを開腹手術することなく内視鏡で治療しております。悪性疾患に対しては超音波内視鏡にて進展度診断や穿刺吸引組織診にて確定診断を行い、進行癌に対してはステント留置を始めとする各種インターベンション治療、化学療法などに積極的に取り組んでいます。
● 胆道疾患に対する内視鏡検査( ERCP)に関する臨床研究のお知らせ
悪性消化管狭窄(食道、幽門・十二指腸、大腸)に対するステント留置術
消化器癌では、病状が進行したり外科的治療後に再発したりすると、消化管(食道、幽門・十二指腸、大腸)の内腔が狭くなる場合があります。このように狭くなった消化管内腔を「ステント」と呼ばれる医療器具を留置することで拡げるのが「ステント留置術」です。とくに大腸のステント治療については、「大腸ステント安全手技研究会」の主要メンバーとして、大腸ステント治療の安全確認や情報収集、他施設との共同研究など、全国規模での幅広い活動を展開しています。
カプセル内視鏡
胃十二指腸と大腸は通常、内視鏡にて観察可能ですが、胃と大腸の間にある小腸は本来観察が困難な部位でした。当科ではカプセル内視鏡を用い、小腸疾患の診断が可能となりました。診断に続き治療を行うためシングルバルーン内視鏡の導入を図ります。
C型慢性肝炎の薬物治療
C型慢性肝炎の治療は現在大きく変わってきています。これまではインターフェロンが使用されていましたが、副作用も強く、当院で治療を受けられた高齢の患者さんの多くが、途中で治療を断念されました。しかし、2014年9月からインターフェロンを使用しない治療、抗ウイルス剤を飲むだけの治療が新たに保険適応となりました。この治療はこれまでインターフェロン治療が行えなかった高齢者、基礎疾患(糖尿病やうつ病など)のある人にも高い治療効果を挙げ、副作用も少ないと報告されています。
2015年5月にはゲノタイプ2型の症例に、2015年9月にはゲノタイプ1型の症 例に新たな抗ウイルス剤が使用可能となりました。これまでは治りにくかったC型慢性肝炎が、3か月間きちんとお薬を飲むだけで、多くの人が治癒する時代に変化しています。一人一人の患者さんについて、現時点での肝臓の状態を確認させていただき、適切な治療法について一緒に考えていきます。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)に対する治療
大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍が生じる原因不明の疾患を総称して炎症性腸疾患といいます。その代表的な疾患が、潰瘍性大腸炎とクローン病です。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる病気で、クローン病は口から肛門にいたるどの消化管にもびらんや潰瘍ができますが、主に小腸と大腸を中心とし特に小腸末端部に好発する病気です。
その治療法は、栄養療法、内科治療、外科治療、内視鏡治療など多岐にわたります。内科治療としては、従来から使われている5-アミノサリチル酸製薬(ペンタサ、アサコールやサラゾピリン)、副腎皮質ステロイドや免疫調節薬(イムランなど)などの内服薬に加え、現在では抗TNFα受容体拮抗薬(レミケードやヒュミラ)やタクロリムス(プログラフ)が使用可能となりました。
当科では血球成分除去療法を交え、これらの組み合わせにより患者様一人一人に適切な寛解導入、寛解維持療法を提供できるよう積極的に取り組んでいます。