当院は島根県の地域周産期母子医療センター(産科及び小児科等を備え、周産期に係る比較的高度な医療行為を行うことができる医療施設)に認定されており、県内の周産期医療施設と連携体制をとり診療を行っています。産科病棟は21床、新生児集中治療管理室(重症新生児受け入れ病床)は6床です。松江八束地区の中核病院として、周辺の病院・診療所から早産、妊娠高血圧症候群、多胎、胎児機能不全などのハイリスク妊産婦を受け入れています。また何らかの合併症をもつ妊婦様には、総合病院であることのメリットを最大限に生かし、内科系、外科系、精神神経科など、種々の専門科と協力して安全に出産ができるよう万全の管理体制をとっています。また当院には早産児や異常をもつ新生児を専門に扱う新生児集中治療管理室(NICU)があるため、出産や帝王切開に小児科医が立ち会ったり、生まれた赤ちゃんに何らかの異常があった場合には、直ちにNICUにて、小児科医師がケアいたします。このように当院ではハイリスクな妊娠・出産ならびに生まれてきた赤ちゃんの異常に備えて病院全体で安全対策をとっています。
正常分娩においては、バースプランをもとに出来るだけ希望に沿った出産をしていただくようにしています。また家族の立会い、母子ともに異常が無ければカンガルーケアも行っています。退院後は母乳外来を利用してもらい、また各市町村の保健師との連携も密に行って安心して育児に取り組んでもらえるようにしています。
2017 | 2018 | 2019 | |
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分娩数 | 381 | 406 | 379 |
帝王切開数 | 163 | 183 | 160 |
多胎数 | 14 | 15 | 13 |
NICU入院数 | 168 | 257 | 233 |
母体搬送受入数 | 45 | 64 | 62 |
婦人科分野では、新しい技術や道具・器械を導入することによって医療レベルのさらなる向上に努めています。現在、CT、PET-CT、MRI、腹腔鏡、レゼクトスコープ等を完備しています。
良性婦人科疾患(子宮筋腫、子宮内膜症、子宮脱など)の治療は、病状や年齢を考慮し、出来るだけご本人の御希望を考慮し治療方針を決定します。最近では婦人科良性疾患で手術が必要な場合、患者さまの負担をよりいっそう軽減するため、できるだけ腟式の手術あるいは腹腔鏡を用いた手術を行うようにしています。腟式手術あるいは腹腔鏡下手術は、従来の開腹手術に比べて術後の痛みが少ない、傷が目立たない、入院日数や自宅療養の日数が短くてすむなど、患者様にとって負担が少ないからです。またクリニカルパスに基づいた入院手術を行い、入院期間の短縮および患者様にわかりやすい診療を心がけています。
当院は、がん診療連携拠点病院に認定されています。婦人科癌検診に関して、従来の細胞診検査を用いた子宮頚部癌検診に加えてハイリスク患者における細胞診検査や超音波検査を用いた子宮体部癌検診も行っています。子宮癌や卵巣癌などの婦人科悪性腫瘍に対する治療では、日本あるいは世界のスタンダードとされる治療方針を患者さまに提示し、quality of life(生活の質)の向上を第一と考え、患者さま本人とよく相談して決めています。妊娠を希望される若年者の症例に対しては、子宮・卵巣温存手術も考慮し、進行癌の患者さまの場合、麻酔科、精神神経科などと合同で緩和ケアチームによる「癌と共に生きる」治療にも取り組んでいます。
2017 | 2018 | 2019 | |
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悪性腫瘍手術 | 22 | 14 | 17 |
子宮全摘術(開腹) | 27 | 20 | 26 |
子宮全摘術(腹腔鏡) | 20 | 20 | 24 |
卵巣腫瘍手術(開腹) | 7 | 9 | 8 |
卵巣腫瘍手術(腹腔鏡) | 31 | 27 | 22 |
子宮鏡下手術 | 36 | 56 | 38 |
子宮脱手術 | 20 | 12 | 13 |
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